褒められても素直に受け取れない理由──「ありがとう」が言えないあなたへ

「すごいね」「頑張ってるね」——
そんなふうに褒められたとき、あなたはどんな気持ちになりますか?

素直に「うれしい」と思える人もいれば、どこかモヤっとしたり、心の中で「そんなことないよ…」と否定してしまう人もいます。

この記事では、なぜ褒め言葉を素直に受け取れないのか、その背景と、少しずつ「ありがとう」を受け入れるコツをお伝えします。


自分に自信がないと受け入れにくい

褒め言葉を受け取れない一番の理由として多いのが、自信のなさです。

たとえば…

  • 「こんなの当たり前だし」
  • 「もっとできる人はいっぱいいる」
  • 「たまたま運が良かっただけ」

自分を低く評価していると、誰かの言葉を素直に信じることが難しくなります。
心のどこかで「本当はそんなに評価される人間じゃない」と思い込んでしまっているのです。

でも、あなたが「たいしたことない」と思っていることも、他の人から見ればちゃんと価値がある。
まずは、「そんなふうに思ってくれてる人がいるんだ」と認めるところから、少しずつ始めてみましょう。


褒められることに慣れていない

子どもの頃から「褒められるより注意されることの方が多かった」人も、褒め言葉に戸惑いや不安を感じやすくなります。

たとえば、

  • 褒めたあとに何かお願いされるんじゃないか
  • 表面的に言ってるだけなんじゃないか

そんなふうに、褒め言葉を「素直な評価」ではなく「裏があるもの」と感じてしまうこともあるのです。

これまでの経験から「褒め=警戒するもの」というクセがついているだけで、あなたに非があるわけではありません。むしろ、人の言葉に慎重に向き合ってきた証でもあります。


比較の癖があると、褒めを受け流してしまう

「でもあの人の方がすごいし…」
そうやって、いつも誰かと自分を比べてしまう癖がある人も、褒め言葉を心に留めづらくなります。

比較のクセは、自分の成長や努力を見えにくくしてしまいます。
たとえ褒められても、「まだまだ」と自分にダメ出しをしてしまい、うまく受け止められないのです。

でも、本当は誰かより優れているかどうかではなく、あなた自身の歩みに目を向けることが大切。
小さな努力や変化を、「自分らしくがんばっている証」として認めてあげてほしいのです。


謙遜が美徳という思い込み

日本では、謙遜や遠慮が「礼儀」とされる文化があります。
だから褒められたときに「いえいえ、そんな…」と返すことが当たり前になっている人も少なくありません。

もちろん、謙虚さは素敵なこと。
でも、必要以上の否定や自己卑下は、自分にも相手にもやさしくないのです。

せっかく気持ちを込めて褒めてくれた人の言葉に対して、「ありがとう」と笑顔で返すこと。
それは、相手の思いやりをちゃんと受け止めている証でもあります。


少しずつ、受け取る練習をしてみよう

「褒められてもうれしくない自分はおかしいのかな」
そんなふうに悩まなくて大丈夫。
これまでの経験や思い込みの中で、そう感じるようになっていただけなんです。

まずは、小さな「ありがとう」を言うところから始めてみましょう。

そう言ってもらえてうれしいです

そう感じてくれたんですね、ありがとう

最初は照れくさくても、少しずつ練習を重ねるうちに、褒め言葉を「自分の栄養」として受け止められるようになります。


最後に:あなたは思っているより、ずっとちゃんとしてる

褒められたときに感じる違和感や、否定したくなる気持ちは、あなたが「ちゃんと向き合って生きてきた」証です。

でも、誰かが伝えてくれたやさしい言葉を、もっと自分の中に入れてもいい。
それは甘えでも図々しさでもなく、あなたのがんばりにふさわしい、ごく自然なことなのです。

今日、誰かに褒められたら——
「ありがとう」って、言ってみませんか?
その言葉が、あなたの心を少しずつあたためていきますように。

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