みなさんは「マインドフルネス」という言葉を聞いたことがありますか? 最近よく耳にするようになりましたが、「なんとなく気にはなっているけど、よくわからない」という人も多いかもしれません。
マインドフルネスは、ストレスの多い今の時代を少しラクに生きるための心のトレーニングです。 特に、将来のことがなんとなく不安という「漠然とした不安」を感じやすい人にとって、大きな助けになります。
この記事では、マインドフルネスとは何か、どうやって実践するのかを、できるだけわかりやすく紹介します。
マインドフルネスとは?
マインドフルネスとは、今、この瞬間に意識を向けること。
例えば、仕事や日常生活で過去の失敗を思い出して落ち込んだり、先のことを考えて不安になったりすることってありませんか? マインドフルネスは、そうした「過去」や「未来」への思考からいったん離れ、「今、ここ」に心を戻す習慣のことです。
この考え方はもともと仏教の瞑想法に由来しており、1970年代以降は医療や心理学の分野でも注目されるようになりました。 アメリカでは、ジョン・カバットジン博士が開発した「マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)」が、慢性的な痛みやストレス対処法として広く用いられています。
特別なスキルや道具はいりません。誰にでも、今すぐ始められる方法です。
漠然とした不安との関係
明確な理由があるわけではないのに、なんとなく心が落ち着かない。
先のことを考えると不安だけがふくらんで、眠れなくなる。
そんな「漠然とした不安」は、多くの人が経験しています。
マインドフルネスは、この不安にとらわれすぎないための手助けになります。
不安は「未来」に意識が向きすぎているときに強くなります。 今に意識を戻すことで、心が少しずつ整っていきます。
簡単にできるマインドフルネスの方法
「何から始めたらいいのかわからない」という方に、日常の中でできる簡単な方法を紹介します。
1. 呼吸に意識を向ける
椅子に座って、背筋を伸ばして、静かに呼吸します。
「吸っている」「吐いている」と呼吸に集中してみましょう。
もし途中で考えごとが浮かんでも、それに気づいてまた呼吸に意識を戻す。 その繰り返しがマインドフルネスの基本です。
最初は1〜2分でも大丈夫。慣れてきたら少しずつ時間を延ばしてみてください。
2. 身体の感覚に注意を向ける
足の裏が床についている感覚、椅子に体が支えられている感覚、手が温かい、冷たいなど。
普段は意識しない身体の小さな感覚に注意を向けることで、頭の中の考えごとから離れることができます。
3. 日常の動作に集中する
食事をするとき、歯を磨くとき、歩くとき。
いつもの動作を「ながら」ではなく、ただその動きに集中するように意識してみましょう。
「箸を持つ」「噛む」「味わう」「飲み込む」など、ひとつひとつの動作をていねいに感じてみるだけで、思考の流れが静かになっていきます。
マインドフルネスで得られる効果
マインドフルネスを継続していくと、次のような変化が感じられるかもしれません。
- 不安やストレスに飲み込まれにくくなる
- 集中力が上がる
- イライラやモヤモヤを客観的に見られるようになる
- 落ち込みから立ち直りやすくなる
- 自分を責めるクセが減っていく
こうした効果は、脳科学の研究でも少しずつ裏付けられています。 たとえば、マインドフルネスの実践によって、不安や恐怖を感じやすくする「扁桃体」の過剰な反応が抑えられるという研究結果もあります。 また、「前頭前野」の働きが活性化され、感情のコントロールがしやすくなるとも言われています。
特に「なんとなく不安」「理由はわからないけど気分が沈む」という人には、考えすぎのループから抜け出すヒントになるはずです。
続けるコツ
マインドフルネスは「上手にできる」ことを目指すものではありません。
たとえ考えごとが浮かんでも、それに気づけた時点で成功です。
完璧を目指す必要はありません。 気軽に、気が向いたときに1分だけでもやってみる。
その積み重ねが、やがて「不安に振り回されにくい心」を育てていきます。
まとめ
マインドフルネスとは、「今この瞬間」に意識を向ける心の習慣です。
漠然とした不安に悩まされているときこそ、「今、ここ」に立ち返ることで、心は少しずつ落ち着いていきます。
難しく考えず、まずは深呼吸から始めてみてください。
その一呼吸が、明日を少し軽くする第一歩になるかもしれません。