経営者の平均年収は?決め方のポイントや注意点
経営者が自分の年収を決める際、いくらにしようか迷う人は多いことでしょう。
一般社員の平均給与は相場からある程度金額を決めやすいかもしれませんが、経営者の場合は比較対象がないため、決め方が分からないという人もいます。また、自分で自由に決められる分、どのくらい支払ってよいのか分からない方もいるでしょう。
本記事では、経営者の平均年収や年収を決定する要素、決める際の注意点について解説します。自分の年収をどう決めるべきか迷っているという方は、ぜひ記事を参考にしてください。
経営者の平均年収
まずは、世の中の経営者の平均年収について確認していきましょう。
あくまで平均額であり、これよりも低かったり高かったりするケースはもちろん存在します。そのため、参考程度としてご覧ください。
大企業の場合
大企業にもさまざまな定義がありますが、ここでは従業員1,000人以上を抱える規模の大きな企業について、平均年収を紹介します。
大企業の平均年収は、社長クラスで約4,000万円〜6,000万円、取締役で約2,000万円〜3,000万円のようです。基本的には規模が大きい会社ほど役員報酬が高くなる傾向にあり、役職の高さに合わせて年収額が変動していきます。
世間一般的に見ると超高収入に感じるかもしれませんが、さらにトップレベルの経営者になると、億を超える報酬を得ていることもあります。
中小企業の場合
中小企業の経営者の場合は、どのくらいの年収が平均的なのでしょうか。
会社規模によって年収額は変動しますが、約1,000万円〜4,000万円ほどが相場のようです。とはいえあくまで目安であり、実際には年収を500万円程度に設定している経営者がいたり、さらに金額を下げて従業員と同等の報酬を設定している人もいたりします。
数字だけを見ると「せっかく経営者になっても全然稼げないなら意味ないのでは?」と思うかもしれませんが、これには理由があり、税金を考慮して年収を調整している場合があるからです。節税との関係性については、次の項で解説します。
経営者の年収はどのように決める?
経営者の年収を決める方法として、次の3つの要素があります。
- 節税を考慮して決める
- 従業員との分配比率で決める
- 資金繰りを重視して決める
それぞれの考え方を解説しますので、しっかりと押さえておきましょう。
節税を考慮して決める
節税を考慮し、役員報酬を決める方法があります。会社の資金から社員に給料を支払い、残りの利益に対して法人税が発生します。また、役員報酬には所得税と住民税が発生するため、それぞれの実効税率を考えて所得を調整する場合があります。
個人の年間所得が900万円までに抑えられれば税率は約33%であり、900万円を超えた分については43%の税率で計算されます。そのため、給与所得控除や社会保障を差し引かれた後の所得を900万円に抑える経営者は多いようです。
従業員との分配比率で決める
この方法は「付加価値分配比率」と呼ばれ、会社の利益を経営者と従業員で分配する際の比率から役員報酬を決めていきます。配分は非合理的な比率でなければ良いため、会社によって利益配分が異なります。
労働集約型と資本集約型のどちらの事業かによって配分の目安が異なりますが、どちらの場合も会社へ残す分の利益について考えなければなりません。会社の資本を増やすことも経営の基本であるため、さまざまな面から考えたうえで経営者の年収を決めていきましょう。
資金繰りを重視して決める
税金や分配比率の他に、会社の資金繰りを重視して役員報酬を決める場合があります。
役員への報酬は基本的に現金で支払わなければならないため、会社のキャッシュがなければ役員報酬を支払うことはできません。
会社からの支出が多い場合は資金繰りが難しくなるため、必然的に経営者の給与は低くなるでしょう。また、長期的に安定した事業を営むためには、安全な資金繰りを行い支払っていける額の報酬を決めることがポイントです。
経営者の年収を決める際に注意したいこと
ここからは、経営者の年収を決める際に注意したいことについて、次の3つを解説します。
- 会社の経営・資金状況を把握する
- 全体的なバランスを考える
- 簡単に変更できないことを覚えておく
一つずつ解説しますので、年収額を決める際に意識してみてください。
会社の経営・資金状況を把握する
まずは、会社の経営・資金状況を把握することが大切です。
経営者の希望で欲しい額を決定するのではなく、事業の売上の見通や支出、税金面などから総合的に会社の経営の流れを把握し、そのうえで年収額を決めていきましょう。
毎月払い続けられる現実的な金額に設定することがおすすめです。
全体的なバランスを考える
従業員の給料を支払わずに役員報酬を支払う、または自分の生活を犠牲にして従業員の給料を支払う、などといった極端なことが起こらないように、全体的なバランスを考えたうえで年収額を決めましょう。
また、会社の経営状況から見た時に役員報酬の比率があまりにも多いと従業員は不信感を抱きやすくなるため、注意が必要です。
簡単に変更できないことを覚えておく
最後に、役員報酬は簡単に変更できないことを覚えておく必要があります。原則、決まった時期にしか報酬額を変更できないため、何かしらの特別な理由がない限りは毎月同じ金額を払い続けなければなりません。
また、変更時期を1日でも過ぎると損金算入ができなくなるため注意しましょう。
まとめ
今回は、経営者の平均年収や決める際のポイント、注意点などについて解説しました。
経営者の年収は会社によって大きく差がありますが、基本的な考え方として会社や従業員、経営との総合的なバランスから決めていくことが大切です。
適切な金額に決定し、安定した会社経営ができるようにしていきましょう。